第53回関西俳句大会
日時:平成30年5月26日
於:大阪・淀屋橋朝日生命ホール
【朝日新聞社賞・関西俳句大会賞】
戦争を知るものばかり日向ぼこ 愛知県 佐藤三千子
【関西俳句大会賞】
風花やこの世のものに触れず消ゆ 愛知県 尾崎恵美子
叱られるために整列炎天下 京都府 上田孝佳
胎の子をときをり撫でて毛糸編む 京都府 井上あや子
プラトンもニーチェも知らず日向ぼこ 兵庫県 田中敏子
恐竜の詰められてゐる福袋 京都府 古野由美子
蓮掘りの田舟にすがり足を抜く 愛知県 古賀勇理央
銅鐸に脱穀の図や秋深し 奈良県 斎藤ふき子
竜宮の入口はどこ箱眼鏡 岡山県 岡田邦男
羅の三人連れは水のごと 滋賀県 井上美代子
大江山いく野のみちの鼬罠 京都府 藤堂くにを
煤逃げの日がな海見て帰りけり 三重県 平田冬か
棒鱈のつつけんどんな乾きやう 兵庫県 岩崎可代子
茨木和生特選
七五三正座崩さず祝詞受く 竹下尚子
大江山いく野のみちの鼬罠 藤堂くにを
鴉しか春田にをらぬではないか 神原廣子
南うみを特選
羅の三人連れは水のごと 井上美代子
青空へまつすぐに坂朴の花 浅井陽子
白山を雪下りて来る仕込唄 富田範保
辻田克巳特選
戦争を知るものばかり日向ぼこ 佐藤三千子
火の色と違ふくれなゐ寒牡丹 常澤俶子
有耶無耶のままもよろしと生身魂 久保田珠生
手拝裕任特選
叱られるために整列炎天下 上田孝佳
大寒や阿修羅の像に影二つ 冨安トシ子
かげろふに子午線のまち歪みをり 長谷川閑乙
山尾玉藻特選
学校に静かな時間菊分つ 市川薹子
その中に天使の羽も羽根布団 平万紀子
蕗の薹摘めりひとつは水の中 浅井陽子
西池冬扇特選
賢さうな石沈みゐる冬の川 乃美隆子
菩提樹の花に雨ふる爆心地 小都妙子
銀杏を拾ふ賽銭箱の前 梅本比佐子
小河洋二特選
プラトンもニーチェも知らず日向ぼこ 田中敏子
町医者で終る一生河豚を食ふ 福本せつこ
真つ先に焚火を育て朝市女 古川和子
大石悦子特選
大花野竪琴置かば鳴り出すや 中川歓子
風狂となれずじまひの裸かな 富吉浩
筆談のくちびる動くシクラメン 山中宏子
古賀雪江特選
雪はげし山吹色のたたらの火 景山みどり
冬帽子耳も尻尾もついてをり 西村妙子
遠足の声の塊過ぎゆけり 山本孝子
宮田正和特選
戦争を知るものばかり日向ぼこ 佐藤三千子
人混みに身を置き年を惜しみけり 小林たみ子
この町に住みしことあり秋簾 富吉浩
名村早智子特選
狐火のまこと父なら蹤いてゆく 福井貞子
胎の子をときをり撫でて毛糸編む 井上あや子
慈しむ形たとへば福寿草 波多洋子
江崎紀和子特選
面打の太くて白き眉涼し 岸しのぶ
叱られるために整列炎天下 上田孝佳
棒鱈のつつけんどんな乾きやう 岩崎可代子
有馬朗人特選
裏道の多き飛鳥や葛の花 田中清司
銅鐸に脱穀の図や秋深し 斎藤ふき子
大海を知らざる賀茂の流し雛 亀山みか月
石井いさお特選
銅鐸に脱穀の図や秋深し 斎藤ふき子
だんだんと音平らかに鍛冶始 伊藤孝子
舞殿に崖迫りゐて国栖の奏 新子喜代子
和田華凜特選
球体となれるを待ちて滴れり 谷口一好
絵懐紙の甘納豆や春隣 髙岡敏子
その髪の乱れ直せぬひひなかな 井村啓子
津川絵理子特選
筆談のくちびる動くシクラメン 山中宏子
冬ごもり牛乳一本ゆつくり飲む 大南勝臣
寒稽古をさなき声のありにけり 山本あかね
鷹羽狩行特選
竜宮の入口はどこ箱眼鏡 岡田邦男
青空をしたがへて鶴来たりけり 加藤いろは
秋晴や乗換へるたび山迫り 飯野定子
塩川雄三特選
蕗の薹煮て母のこと祖母の事 廣瀬美智子
癖のある筆を宥めて吉書かな 岸田尚美
寒椿百落ち百の炎立つ 井本淳子
柴田多鶴子特選
涅槃図に嘆く水族見あたらず 猪瀬幸
竜宮の入口はどこ箱眼鏡 岡田邦男
桃太郎のやうな子を抱き初湯殿 岩水節子
三村純也特選
漕ぐ手止め流す一艇花の土手 木村良昭
形代のわが名たちまち波に透く 西浦昭美
蓮掘りの田舟にすがり足を抜く 古賀勇理央
柴田南海子特選
新藁や納屋の梁にも火伏せ札 小澤巖
青竹の切つ先に満つ淑気かな 高下なおこ
日時計の光る文字盤鳥雲に 田邉富子
森田純一郎特選
手仕事の針を休めて久女の忌 谷水總雄
鉈音の聞こえ聞こえず成木責 壁谷幸昌
プラトンもニーチェも知らず日向ぼこ 田中敏子
田中春生特選
次々に駆け抜くる星聖夜劇 猪瀬幸
恐竜の詰められてゐる福袋 古野由美子
風花やこの世のものに触れず消ゆ 尾崎恵美子
西村和子特選
銀杏散る歩けば長き御堂筋 中野庸二
風花やこの世のものに触れず消ゆ 尾崎恵美子
乗鞍の雲を払ひて鷹渡る 渡辺美紀代
井上弘美特選
雪霏々と高野百坊埋めけり 本村幸子
箱庭に置きたし若き父と母 人見洋子
若草やかごめかごめの輪が回る 森可穂
大橋晄特選
手話といふ声なき声も息白し 野口喜久子
風花やこの世のものに触れず消ゆ 尾崎恵美子
試し書く文字は父母の名筆始 師岡洋子
田島和生特選
みどり児に振る向日葵の種袋 金森教子
羽子板を買うて鑽り火を受けにけり 山内茉莉
鏡餅末広がりに割れにけり 石川雄大
徳田千鶴子特選
魞を挿し湖の綻び繕へり 古賀勇理央
独り言全部聞いてるマスクかな 松本信子
羅の三人連れは水のごと 井上美代子
小路智壽子特選
曼珠沙華入鹿誅せし宮の跡 富田範保
頂相の炯眼慈眼お風入 西浦昭美
朝堂院ありし高みの青き踏む 前田攝子
柏原眠雨特選
叱られるために整列炎天下 上田孝佳
恐竜の詰められてゐる福袋 古野由美子
引鴨の低くはじまる奥琵琶湖 下村裕子
朝妻力特選
春は曙はや鳥声の賑はしく 藤田壽穂
猿群Aわが葱畑を縄張りに 山内利男
平飼ひの矮鶏の連れ鳴く花の昼 中川晴美
岩城久治特選
涼新た実家へ本を移しけり 羽賀明
署に一度呼ばれしと言ふ囮守 富吉浩
かがりゆく手鞠に金糸いのちなが 小林真木
尾池和夫特選
麦秋や風みな阿蘇を起点とす 碇天牛
震災を振り返るたび土筆出づ 大槻一郎
稲雀いきなり空を広げけり 大和愉美子
吾が裸ひたと吸ひ付く子の裸 井上次雄
大串章特選
胎の子をときをり撫でて毛糸編む 井上あや子
大枯木のびやかに日をまとひけり 柄川由紀子
於:大阪・淀屋橋朝日生命ホール
【朝日新聞社賞・関西俳句大会賞】
戦争を知るものばかり日向ぼこ 愛知県 佐藤三千子
【関西俳句大会賞】
風花やこの世のものに触れず消ゆ 愛知県 尾崎恵美子
叱られるために整列炎天下 京都府 上田孝佳
胎の子をときをり撫でて毛糸編む 京都府 井上あや子
プラトンもニーチェも知らず日向ぼこ 兵庫県 田中敏子
恐竜の詰められてゐる福袋 京都府 古野由美子
蓮掘りの田舟にすがり足を抜く 愛知県 古賀勇理央
銅鐸に脱穀の図や秋深し 奈良県 斎藤ふき子
竜宮の入口はどこ箱眼鏡 岡山県 岡田邦男
羅の三人連れは水のごと 滋賀県 井上美代子
大江山いく野のみちの鼬罠 京都府 藤堂くにを
煤逃げの日がな海見て帰りけり 三重県 平田冬か
棒鱈のつつけんどんな乾きやう 兵庫県 岩崎可代子
茨木和生特選
七五三正座崩さず祝詞受く 竹下尚子
大江山いく野のみちの鼬罠 藤堂くにを
鴉しか春田にをらぬではないか 神原廣子
南うみを特選
羅の三人連れは水のごと 井上美代子
青空へまつすぐに坂朴の花 浅井陽子
白山を雪下りて来る仕込唄 富田範保
辻田克巳特選
戦争を知るものばかり日向ぼこ 佐藤三千子
火の色と違ふくれなゐ寒牡丹 常澤俶子
有耶無耶のままもよろしと生身魂 久保田珠生
手拝裕任特選
叱られるために整列炎天下 上田孝佳
大寒や阿修羅の像に影二つ 冨安トシ子
かげろふに子午線のまち歪みをり 長谷川閑乙
山尾玉藻特選
学校に静かな時間菊分つ 市川薹子
その中に天使の羽も羽根布団 平万紀子
蕗の薹摘めりひとつは水の中 浅井陽子
西池冬扇特選
賢さうな石沈みゐる冬の川 乃美隆子
菩提樹の花に雨ふる爆心地 小都妙子
銀杏を拾ふ賽銭箱の前 梅本比佐子
小河洋二特選
プラトンもニーチェも知らず日向ぼこ 田中敏子
町医者で終る一生河豚を食ふ 福本せつこ
真つ先に焚火を育て朝市女 古川和子
大石悦子特選
大花野竪琴置かば鳴り出すや 中川歓子
風狂となれずじまひの裸かな 富吉浩
筆談のくちびる動くシクラメン 山中宏子
古賀雪江特選
雪はげし山吹色のたたらの火 景山みどり
冬帽子耳も尻尾もついてをり 西村妙子
遠足の声の塊過ぎゆけり 山本孝子
宮田正和特選
戦争を知るものばかり日向ぼこ 佐藤三千子
人混みに身を置き年を惜しみけり 小林たみ子
この町に住みしことあり秋簾 富吉浩
名村早智子特選
狐火のまこと父なら蹤いてゆく 福井貞子
胎の子をときをり撫でて毛糸編む 井上あや子
慈しむ形たとへば福寿草 波多洋子
江崎紀和子特選
面打の太くて白き眉涼し 岸しのぶ
叱られるために整列炎天下 上田孝佳
棒鱈のつつけんどんな乾きやう 岩崎可代子
有馬朗人特選
裏道の多き飛鳥や葛の花 田中清司
銅鐸に脱穀の図や秋深し 斎藤ふき子
大海を知らざる賀茂の流し雛 亀山みか月
石井いさお特選
銅鐸に脱穀の図や秋深し 斎藤ふき子
だんだんと音平らかに鍛冶始 伊藤孝子
舞殿に崖迫りゐて国栖の奏 新子喜代子
和田華凜特選
球体となれるを待ちて滴れり 谷口一好
絵懐紙の甘納豆や春隣 髙岡敏子
その髪の乱れ直せぬひひなかな 井村啓子
津川絵理子特選
筆談のくちびる動くシクラメン 山中宏子
冬ごもり牛乳一本ゆつくり飲む 大南勝臣
寒稽古をさなき声のありにけり 山本あかね
鷹羽狩行特選
竜宮の入口はどこ箱眼鏡 岡田邦男
青空をしたがへて鶴来たりけり 加藤いろは
秋晴や乗換へるたび山迫り 飯野定子
塩川雄三特選
蕗の薹煮て母のこと祖母の事 廣瀬美智子
癖のある筆を宥めて吉書かな 岸田尚美
寒椿百落ち百の炎立つ 井本淳子
柴田多鶴子特選
涅槃図に嘆く水族見あたらず 猪瀬幸
竜宮の入口はどこ箱眼鏡 岡田邦男
桃太郎のやうな子を抱き初湯殿 岩水節子
三村純也特選
漕ぐ手止め流す一艇花の土手 木村良昭
形代のわが名たちまち波に透く 西浦昭美
蓮掘りの田舟にすがり足を抜く 古賀勇理央
柴田南海子特選
新藁や納屋の梁にも火伏せ札 小澤巖
青竹の切つ先に満つ淑気かな 高下なおこ
日時計の光る文字盤鳥雲に 田邉富子
森田純一郎特選
手仕事の針を休めて久女の忌 谷水總雄
鉈音の聞こえ聞こえず成木責 壁谷幸昌
プラトンもニーチェも知らず日向ぼこ 田中敏子
田中春生特選
次々に駆け抜くる星聖夜劇 猪瀬幸
恐竜の詰められてゐる福袋 古野由美子
風花やこの世のものに触れず消ゆ 尾崎恵美子
西村和子特選
銀杏散る歩けば長き御堂筋 中野庸二
風花やこの世のものに触れず消ゆ 尾崎恵美子
乗鞍の雲を払ひて鷹渡る 渡辺美紀代
井上弘美特選
雪霏々と高野百坊埋めけり 本村幸子
箱庭に置きたし若き父と母 人見洋子
若草やかごめかごめの輪が回る 森可穂
大橋晄特選
手話といふ声なき声も息白し 野口喜久子
風花やこの世のものに触れず消ゆ 尾崎恵美子
試し書く文字は父母の名筆始 師岡洋子
田島和生特選
みどり児に振る向日葵の種袋 金森教子
羽子板を買うて鑽り火を受けにけり 山内茉莉
鏡餅末広がりに割れにけり 石川雄大
徳田千鶴子特選
魞を挿し湖の綻び繕へり 古賀勇理央
独り言全部聞いてるマスクかな 松本信子
羅の三人連れは水のごと 井上美代子
小路智壽子特選
曼珠沙華入鹿誅せし宮の跡 富田範保
頂相の炯眼慈眼お風入 西浦昭美
朝堂院ありし高みの青き踏む 前田攝子
柏原眠雨特選
叱られるために整列炎天下 上田孝佳
恐竜の詰められてゐる福袋 古野由美子
引鴨の低くはじまる奥琵琶湖 下村裕子
朝妻力特選
春は曙はや鳥声の賑はしく 藤田壽穂
猿群Aわが葱畑を縄張りに 山内利男
平飼ひの矮鶏の連れ鳴く花の昼 中川晴美
岩城久治特選
涼新た実家へ本を移しけり 羽賀明
署に一度呼ばれしと言ふ囮守 富吉浩
かがりゆく手鞠に金糸いのちなが 小林真木
尾池和夫特選
麦秋や風みな阿蘇を起点とす 碇天牛
震災を振り返るたび土筆出づ 大槻一郎
稲雀いきなり空を広げけり 大和愉美子
山本洋子特選
爽やかにページを繰つて教へくれ 徳永真弓
煤逃げの日がな海見て帰りけり 平田冬か吾が裸ひたと吸ひ付く子の裸 井上次雄
大串章特選
胎の子をときをり撫でて毛糸編む 井上あや子
大枯木のびやかに日をまとひけり 柄川由紀子
戦争を知るものばかり日向ぼこ 佐藤三千子
【当日句】
石井いさお選
兜虫鋼鉄の背の兜太亡し 川上なみ子
塩川雄三選
母の日は母を恋ふる日割烹着 井上恵美子
柴田多鶴子選
留まるはどうやら嫌ひ祭馬 神原廣子
手拝裕任選
草に脱ぎ草の色なる蛇の衣 小畑晴子
名村早智子選
重心をとる眼に力子鹿立つ 山中宏子
和田華凜選
我が残生涼し大成ならずとも 池田緑人
兜虫鋼鉄の背の兜太亡し 川上なみ子
塩川雄三選
母の日は母を恋ふる日割烹着 井上恵美子
柴田多鶴子選
留まるはどうやら嫌ひ祭馬 神原廣子
手拝裕任選
草に脱ぎ草の色なる蛇の衣 小畑晴子
名村早智子選
重心をとる眼に力子鹿立つ 山中宏子
和田華凜選
我が残生涼し大成ならずとも 池田緑人