第17回俳句大賞

【大 賞】
秋高し鞍まだ置かぬ当歳馬     千葉年子

【準 賞】
遠足の列を正して解散す     宮本啓子
御柱男と云はれ老いにけり     長井紀子
首筋に太陽の熱箱眼鏡     細野和子

伊藤通明特選
先生を取り巻いてゐる日焼の子     相賀孝子
まくなぎに顔を取られてしまひけり     浅見啓子

茨木和生特選
合宿へ猪肉二十キロ届く     小阪南枝
先生を取り巻いてゐる日焼の子     相賀孝子
種を採る向日葵の顔かきむしり     田澄夫

小澤實特選
杉箸の匂ふ弁当舟遊び     辻月女
水着きて水着の妻を待ちにけり     内藤一天子
首筋に太陽の熱箱眼鏡     細野和子

片山由美子特選
打ち水に礼言ふ人の通り過ぐ     笠置早苗
元日の顔ていねいに洗ひけり     東野修子
念力も効かぬ大暑となりにけり     大林保則

栗田やすし特選

鵜の吐きしいとけなき鮎光りけり     近藤文子
日吉館あと均されて春時雨     安田三代子

斎藤夏風特選

夜振火の火影の揺れへ網を打ち     小河洋二
漁火や帰省の夜を寝惜しみて     礒江沙知子

藤木倶子特選
乾くまで天を見届け昆布干す     金田一波
沙羅落ちて己がしじまの中にあり     松永浮堂
竹伐つてよべの風音括りけり     西川肇子

山本洋子特選
一隅を照らすとはこの石蕗の花     小島可寿
青梅雨の誰も渡らぬ二重橋     上谷昌憲
母の日の母につば広帽子買ふ     大田羅漢子