第19回俳句大賞
【大 賞】
ひとつまみ麦茶にとかす能登の塩 (雉) 大前貴之
【準 賞】
胸に胸寄せて子猫を貰ひけり (櫟) 池川紀子
未だ誰も踏まぬ雪掻き患者待つ (年輪) 西田誠
片山由美子特選
生まれたる子犬の真白クリスマス (狩) 牛田修嗣
未だ誰も踏まぬ雪掻き患者待つ (年輪) 西田誠
寝返りのできて泣く子や若葉風 (楓) 浜井育子
小島健特選
草取の夫より四つ葉クローバー (鶴) 藤田美弥子
疲れ鵜に大きな月の残りたる (蕗・北の雲) 水野幸子
炎昼や昔は家の中見えて (辛夷) 中坪達哉
島谷征良特選
しなやかに亡者となりて踊るなり (俳星) 山田草人
深吉野は今も在所や石鼎忌 (濱) 日下徳一
花火師の合掌をもて花火果つ (阿吽) 松本英夫
田島和生特選
父祖よりの赤土の畑薯咲けり (山火) 清水山彦
子規庵の叢に焚く蚊遣かな (椋) 澤瀉邦安
蚊柱や模型と言へど流人船 (馬醉木・苑) 安達實生子
西村和子特選
胸に胸寄せて子猫を貰ひけり (櫟) 池川紀子
甚平や男の余生相似たり (甘藍) 高島昭子
身じろげば山動きけりハンモック (若葉) 大竹朝子
野中亮介特選
父の波母の波来る青田かな (阿吽) 岡野美代子
畦みちは青大将も通る道 (百鳥) 金子孝子
源鬼彦特選
一山の雲を踏み抜く田植かな (百鳥) 上野澄江
箱庭に天下分け目の大河かな (百鳥) 田中清之
未だ誰も踏まぬ雪掻きき患者待つ (年輪) 西田誠
山本洋子特選
割烹着はづして雛の客となる (春潮) 大友秀子
鵜の川につけて篝火消されけり (朝) 室井千鶴子
向き変へるたび増えてくる赤とんぼ (諷詠) 宮川建子