第28回俳句大賞

【大 賞】
わたつみは谺生まずよ沖縄忌 (火星)蘭定かず子

【準 賞】
ロボットの犬が尾を振る敬老日 (河)小田中雄子

【プラチナ賞】

後の月ひとりに余る闇を抱き (椎の実)柿並その子

伊藤伊那男

黒板に牛の体重雲の峰 (風港)山田深雪
わたつみは谺生まずよ沖縄忌 (火星)蘭定かず子
水輪ぶつかりあめんぼのぶつからず (香雨)牛田修嗣

大竹多可志
ワクチンを打ちて墓参の夜汽車かな (春嶺)猪瀬達朗
ロボットの犬が尾を振る敬老日 (河)小田中雄子
天と地を繫ぐぐ鐘の音長崎忌 (春月)出口裕興

古賀雪江
峰雲に一振りしては病衣干す (万象)新妻奎子
書肆の灯はしづかに混みて夜の秋 (馬醉木)米山のり子
水を捨て水を拾ひて紙を漉く (若葉)鈴木和子

辻 恵美子
簀戸入れて少し構へて生きてをり (栞)室井千鶴子
断片となりゆく月日敗戦忌 生出紅南
わたつみは谺生まずよ沖縄忌 (火星)蘭定かず子

德田千鶴子
荒草へ盥の月をこぼしけり (艸)新井洋子
避暑の家サガンの文庫古りにけり (河)浜なつ子
睡蓮のひらきて水のととのひぬ (白魚火)佐藤升子

松尾隆信
ただいまは蟬のあばるる音連れて (運河)德永ひと葉
千年を嬰抱く埴輪草の絮 (南風)小野伶
わたつみは谺生まずよ沖縄忌 (火星)蘭定かず子

松岡隆子特選
水遊びわれもわれもと濡れに来る (松籟)南﨑文代
プールより勝者最後に上がりたる (香雨)小森広司
鬱が書け耄碌が読め簟 (対岸)田村能章

南うみを特選
夏木立浅沓の音そろひ来る (むさし野)菅野トモ子
仰向けに置かるる汗の保安帽 (風の道)羽鳥つねを