第52回全国俳句大会 一般の部
開催日:平成25年9月10日 於:有楽町朝日ホール
【大会賞】
雛市の裏がうがうと最上川 山形 武田菜美
捨て番屋えぞ虎杖に埋もれけり 鳥取 坂口恵子
蜃気楼まことの船の通りけり 大阪 小畑晴子
【秀逸賞】
観梅やひかりの午前風の午後 茨城 増田宇一
はつ夏の夜明けは水を渡りくる 大分 古賀宣道
白鳥の献花のごとくかたまりぬ 岩手 和城弘志
母の日やまだ母として出来ること 埼玉 瀬川節子
箱河豚の泳げば傾ぐまた傾ぐ 神奈川 吉田ひろし
栗ごはん琥珀の湯気を上げにけり 京都 平万紀子
空青ければ風船の下りて来ず 徳島 飯田酔亥
まだ誰も来ぬ校庭の桜かな 島根 卜部純栄
有馬朗人特選
児を呑みし津波の海へ雛流す 愛知 富田範保
鮟鱇の胆を取られし軽さかな 宮城 藤野尚之
茨木和生特選
栗ごはん琥珀の湯気を上げにけり 京都 平万紀子
捨て番屋えぞ虎杖に埋もれけり 鳥取 坂口恵子
今瀬剛一特選
にはたづみにも花筏ありにけり 埼玉 黒岩裕介
まだ誰も来ぬ校庭の桜かな 島根 卜部純栄
大串 章特選
母の日やまだ母として出来ること 埼玉 瀬川節子
蜃気楼まことの船の通りけり 大阪 小畑晴子
空青ければ風船の下りて来ず 徳島 飯田酔亥
岡田日郎選
捨て番屋えぞ虎杖に埋もれけり 鳥取 坂口恵子
奥能登は宇宙に近し星月夜 愛知 土川喜一郎
小川軽舟選
あたらしき巣箱が二つ櫟山 東京 守屋吉郎
雪晴の近江一国水にほふ 大阪 中川靖子
母のなき子に母の日の海平ら 長崎 森宏二
小川濤美子特選
明日あれば今日を笑ひて陽炎へり 富山 中屋敏子
振り向かず手を上げて去る冬帽子 徳島 近藤恵美子
小澤 實特選
箱河豚の泳げば傾ぐまた傾ぐ 神奈川 吉田ひろし
ずり歩く蛸つかみ入れ糶終る 富山 荒田眞智子
小原啄葉特選
朧夜を別れ別れてひとりかな 三重 山口一世
母の日やまだ母として出来ること 埼玉 瀬川節子
鍵和田秞子選
産声や風が太らす軒氷柱 東京 斎藤和江
雛市を巡りてうつし世を離る 静岡 白鳥彰子
猫の子をもう拾へない齢かな 大分 睦ほたるこ
柏原眠雨特選
児を呑みし津波の海へ雛流す 愛知 富田範保
泳ぎ終へ帽子に詰めし髪ほぐす 三重 山村晃一
浮き出でて光まみれの鮑海女 大阪 金森教子
片山由美子特選
あと一と日風に当てむと若布干す 静岡 伊藤芳子
風船が重し重しと遅れがち 静岡 横田じゅんこ
知らぬ間に夫の来てをり盆踊 滋賀 並木益雄
神尾久美子特選
雪掘りて墓石確かむ彼岸かな 青森 瀬川八百子
戸口まで青田波来る越後かな 埼玉 岡野美代子
神蔵 器特選
雛市の裏がうがうと最上川 山形 武田菜美
暮れのこりつつ暮れてゆく桜かな 神奈川 谷和子
倉田紘文特選
草の芽に多摩の青空ありにけり 東京 横山玄水
うつくしき礼に終れり寒稽古 富山 若土白羊
栗田やすし特選
遺されて踊る阿呆に徹しけり 神奈川 小嶋恵美
白桃をすすりて恋はまだ知らず 京都 加藤満智子
黒田杏子特選
こころみの如く日の射す梅真白 静岡 原梅子
墓所があり集落があり山桜 茨城 坂本ふく子
猫の子をもう拾へない齢かな 大分 睦ほたるこ
斎藤夏風特選
雁風呂や火のさびしさも岬宿 東京 菅原悟
真白なる湯引の鱧や誕生日 愛知 矢澤いさを
畦塗りの残る一枚星明り 福島 齋藤耕心
佐川広治特選
花筵バイクでピザの届きたる 東京 柳田りつ子
初陣の五羽白鳥の湖となる 新潟 高鴨アヤ子
紅白の梅の遅速も龍太の忌 宮崎 遠井俊二
島谷征良特選
目を閉ぢし手負ひ熊とてあなどれず静岡 村上尚子
捨て番屋えぞ虎杖に埋もれけり 鳥取 坂口恵子
鈴木貞雄特選
朱鷺の眸の煌煌として巣籠れり 新潟 佐山香代子
五戸の谷吹雪く一戸の通夜あかり 広島 境江富美江
鷹羽狩行特選
闇の中より現れて踊りけり 埼玉 吉田靜子
この風は雪になるぞと能登の人 東京 綱島清
形あるものなきものも凍てにけり 滋賀 池谷百々代
棚山波朗特選
聖夜劇厩に眠るだけの役 愛知 佐藤三千子
腕一杯伸ばし卒業証書受く 大阪 三嶋八千穂
辻田克巳特選
東京に子を攫はれし大試験 千葉 原瞳子
ずり歩く蛸つかみ入れ糶終る 富山 荒田眞智子
中原道夫特選
星祭せいぶつがくしやになれますやうに 東京 小山喬司
叩かれて木の芽正気にもどるかな 神奈川 川原京子
花の雨市電ゆるりと動き出す 富山 金谷美子
七田谷まりうす特選
観梅やひかりの午前風の午後 茨城 増田宇一
西嶋あさ子特選
まだ誰も来ぬ校庭の桜かな 島根 卜部純栄
望郷や春星胸に降り積もる 滋賀 齊藤いさを
栗ごはん琥珀の湯気を上げにけり 京都 平万紀子
西村和子特選
聖夜劇厩に眠るだけの役 愛知 佐藤三千子
根岸善雄特選
氷見よりの寒鰤届く相撲部屋 東京 佐藤晴代
樏の跡が道なり過疎の村 神奈川 谷口荒太
闘鶏のよろめきつつも蹴り合へり 広島 加計姷
野見山ひふみ特選
しやぼん玉吹くや無数の小宇宙 愛媛 遠田澄子
百年の重石が作る新豆腐 富山 四十物文代
寒の滝行者はがねのこゑ発す 宮崎 小田切文子
星野恒彦特選
職辞して書架の入れ替へ春灯 栃木 岩田裕司
かつてデモに集ひし日比谷夜の新樹 徳島 長山敦彦
母屋には母屋の匂ひ柿の花 埼玉 北村東海男
正木ゆう子特選
箱庭の明けてやつぱり東より 大阪 鈴木貞雄
はつ夏の夜明けは水を渡りくる 大分 古賀宣道
松崎鉄之介選
曲水のこゑ透きとほる披講かな 千葉 横山邦彦
ひと刷けの雲曳く山河御神渡 北海道 安原ときこ
比良八荒湖一枚を漉くごとし 岐阜 井之口貢蘭
黛 執特選
うづくまる敗戦投手雲の峯 埼玉 梅田ひろし
水原春郎特選
子らすべて避難せし丘花万朶 岩手 梅森サタ
雪晴の近江一国水にほふ 大阪 中川靖子
三村純也特選
雪折に雪折の枝のひつかかる 神奈川 長浜よしこ
竹馬に乗り確かめて子に渡す 岡山 塩津珠子
山崎ひさを特選
子供の日繕ふファーブル昆虫記 神奈川 鈴木千恵子
山本洋子特選
腕一杯伸ばし卒業証書受く 大阪 三嶋八千穂
はつ夏の夜明けは水を渡りくる 大分 古賀宣道
蓬田紀枝子特選
雛市の裏がうがうと最上川 山形 武田菜美
庖丁を研ぎ春の草切つてみる 新潟 小黒音榮
大根干し名もなき山の裾に住む 大阪 川上ヒサ子