第57回全国俳句大会 ジュニアの部
【大会賞】
しもばしらしょくぱんかじる音がする
京都府 京都市立上賀茂小学校小1 古谷佳子
*+*+*+*
しもばしらをふむとおもしろい音が!「これはなにかに似ている。あっ、焼いた食パンをかじるときの音だ」と作者は気付いたのです。すばらしい気付きによっていきいきとした句になりました。(選評=山西雅子)
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にゅうがくしきパパもこうかをうたってる
埼玉県 寄居町立男衾小学校小1 吉田星哉
*+*+*+*
パパがにゅうがくしきにきてくれました。こうかを歌うときにちらっと見ると、パパも歌ってくれている。作者はちょっとふしぎなかんじがし、そしてとてもうれしいきもちになったのでしょう。(選評=山西雅子)
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臆病な麦わらぼうし出てこない
東京都 江東区立数矢小学校小6 保国友香
*+*+*+*
お気に入りの大きなリボンの付いた麦藁帽子をたしかにここに置いたのに、どうしたことか大切に仕舞ったはずのところにないのですね。〈臆病になっている〉と感覚的に捉えた面白さがあります。(選評=鈴木太郎)
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畑からスイカ投げてくる僕の祖父
群馬県 渋川市立子持中学校中2 高尾晴空
*+*+*+*
四千年前のエジプト・ギリシャに始まる西瓜栽培。太陽の熱そのものの縞のある西瓜を祖父が〈そらよっ〉と畑から抛るのです。作者はそれを胸の前でうまくキャッチするコツがあるのでしょう。(選評=鈴木太郎)
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花火後の静かな道を歩いてる
東京都 葛飾区立小松中学校中2 小田島雅
*+*+*+*
花火終了後の喧噪から抜けて、家路へ向かう少女の姿です。さっきと違う静かな道を歩いていると花火の興奮も冷めて、友達のことや勉強のことが思い浮かんだのでしょう。少女期から大人へ向かう姿を感じます。(選評=森岡正作)
*+*+*+*
すみれ咲く原爆ドームの足元で
東京都 学習院女子中等科中3 赤堀実咲
*+*+*+*
足元に咲く可憐なすみれに気づいた作者に、原爆の悲劇がオーバーラップする。人間の作り出した原爆ドームと小さなすみれの花とを対比させた見事な構成に「生命」の在り方が問われた。(選評=長嶺千晶)
*+*+*+*
葉桜で町に素顔が戻りけり
三重県 セントヨゼフ女子学園高等学校高1 笠井うらら
*+*+*+*
桜が満開だった時の町の明るさや賑わい、そして葉桜となった町がいつもの落ち着きを取り戻した様子が見て取れます。作者も歩きながら、そろそろ高校生活に本腰を入れねばと思ったことでしょう。(選評=森岡正作)
*+*+*+*
踵よりこゑ絞り出す寒稽古
東京都開成高等学校高3 渡辺光
*+*+*+*
丹田や腹から声を出すのは常識だが、この句は、踵。踵は、大地からエネルギーを吸う。そして声となって放たれた。中七は寒稽古の厳しさを感じさせる。空手などの武道の寒稽古であろうか。(選評=山崎祐子)
*+*+*+*
風信子鏡の多き館かな
愛知県 名古屋高等学校高3 細井淳平
*+*+*+*
「風信子」はヒヤシンスの和名。水栽培も可能なこの花はどこか人工的な趣があり、さらに「鏡の多き館」に存在することで耽美的な世界が展開してゆく。その幻想性に詩情を覚えた。(選評=長嶺千晶)
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【優秀賞】
なの花はちょうちょうのとまるレストラン
和歌山県 田辺市立芳養小学校小1 竹ノ下緒里
たいふうがはたけのすなをおいかける
埼玉県 加須市立高柳小学校小1 増田海斗
ゆきだるまどんどんかおがかわってく
栃木県 大田原市立佐久山小学校小2 渡辺圭輔
とうこうのれつ大やねのつららのれつ
富山県高岡市立伏木小学校小2 奥原澄
地底から打ち上げられたねぎぼうず
和歌山県 田辺市立芳養小学校小5 峯佑希
庭のバラ聖母祭にはとどけよう
東京都 目黒星美学園小学校小5 永倉拓歩
私より友の手が好き天道虫
愛知県 西尾市立佐久島小学校小5 大島遥
うんていの肩もちぢまる若葉寒
東京都 江東区立枝川小学校小5 中島佳穂
理科室にならぶフラスコ若葉光
東京都 江東区立枝川小学校小5 西野良昭
さいぼうがツンとふるえるかきごおり
東京都 江東区立第四砂町小学校小5 千野雄大
京の秋武将と同じゆか歩く
愛知県 岡崎市立矢作南小学校小6 岩室明咲花
春の陽にほすうちばきが白くゆれ
富山県 高岡市立伏木小学校小6 臼谷英斗
先生のめがねに映る春の風
群馬県 館林市立第八小学校小6 松田紅愛
春の空見わたしながらボール投げ
ミラノ ミラノ日本人学校中1 小竹晴人
春眠のひかりいちまい着てをりぬ
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
てのひらに水の重たき遅日かな
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
休憩にひねる蛇口や風光る
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 池優里花
髪切る日薔薇を一本飾りましょう
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 前田愛奈
卒業や第二ボタンを予約して
北海道 富良野市立富良野東中学校中3 米村唯花
猛暑日は金管楽器で涼を取る
東京都 東大和市立第四中学校中3 木村莉音
ホルストの楽譜捲れて雲の峰
愛知県 名古屋高等学校高1 冨田孝太郎
熱帯魚近くにいるのに遠い友
東京都 学習院女子高等科高1 村瀬結子
浴衣着て首の後ろをぬるいかぜ
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 柴木香乃
褐色の少年握るカブトムシ
長崎県 長崎県立大村高等学校高1 山口雄大
発車までの時減ってゆく春の海
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高2 田村知広
がら空きの三階にゐた卒業生
石川県 石川県立金沢錦丘高等学校高2 種田彩花
全島の卒業式を十五人
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高3 藤本春風
鞦韆やうまく笑へぬ日も漕ぎて
和歌山県和歌山県立桐蔭高等学校高3 松本梓紗
月桃が戦のことを語り継ぐ
沖縄県 沖縄県立読谷高等学校高3 竹上恵理紗
【学校賞】
◆小学校◆
東京都 江東区立越中島小学校
東京都 江東区立枝川小学校
富山県 氷見市立窪小学校
◆中学校◆
東京都 学習院女子中等科
東京都 八王子市立みなみ野中学校
東京都 江東区立深川第七中学校
◆高等学校◆
東京都 学習院女子高等科
兵庫県 雲雀丘学園高等学校
福岡県 福岡県立有明工業高等専門学校
【奨励賞】
◆小学校◆
東京都 日野市立南平小学校
東京都 江東区立深川小学校
愛知県 岡崎市立矢作南小学校
◆中学校◆
広島県 広島県立広島中学校
広島県 福山市立中央中学校
山梨県 北杜市立長坂中学校
◆高等学校◆
愛知県 安城生活福祉高等専修学校
東京都 東京都立江戸川高等学校
沖縄県 沖縄県立読谷高等学校
【選者特選・入選】
鈴木太郎選
◎特選
臆病な麦わらぼうし出てこない
東京都 江東区立数矢小学校小6 保国友香
卒業や第二ボタンを予約して
北海道 富良野市立富良野東中学校中3 米村唯花
猛暑日は金管楽器で涼を取る
東京都 東大和市立第四中学校中3 木村莉音
鞦韆やうまく笑へぬ日も漕ぎて
和歌山県 和歌山県立桐蔭高等学校高3 松本梓紗
ホルストの楽譜捲れて雲の峰
愛知県 名古屋高等学校高1 冨田孝太郎
◎入選
犬の毛がふわふわ春になりました
富山県 高岡市立伏木小学校小3 渋谷宗一郎
母さんは大きくため息雪の朝
富山県 高岡市立伏木小学校小5 前田裕空
ひっこしだくわの木にはち集合だ
埼玉県 寄居町立男衾小学校小4 川﨑駿介
一年生目をあわせるとやってくる
東京都 葛飾区立新宿小学校小6 遠藤稜久
街角にパン屋ができたこどもの日
東京都 江東区立枝川小学校小6 瀧澤彩衣
ランドセル少しみがいて進級す
東京都 江東区立越中島小学校小5 佐藤美海
葉桜の下を通れば未来見え
長野県 豊丘村立豊丘中学校中3 上竹ひまり
畑からスイカ投げてくる僕の祖父
群馬県 渋川市立子持中学校中2 高尾晴空
ハンカチに染めるうさぎは後ろ向き
東京都 江東区立東陽中学校中3 宮島進之介
東大寺鹿を避けてもそこに鹿
東京都 江東区立東陽中学校中3 岡本若菜
広島の夏の大地に眠るいのち
東京都 学習院女子中等科中3 山成春佳
いつの日か揺れたぶらんこ独りきり
広島県 広島県立広島中学校中3 山本悠愛星
夏の朝少し高めのポニーテール
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 佐藤里咲
母笑う若草色のカーディガン
東京都 学習院女子高等科高3 野口友莉香
怖いもの日焼けの次に筋肉痛
長崎県 鎮西学院高等学校高2 寺方美明
母の日に手紙を書いて仲直り
愛知県 愛知県立春日井高等学校高2 伊藤綾音
鉛筆持つ手に髪垂るる薄暑かな
岩手県 岩手県立盛岡第三高等学校高2 國﨑萌子
勉強は雲雀が集う学校で
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 柗村龍星
白い母抱きしめ涙凍る朝
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 工代桜
発車までの時減ってゆく春の海
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高2 田村知広
中西夕紀選
◎特選
先生のめがねに映る春の風
群馬県 館林市立第八小学校小6 松田紅愛
にゅうがくしきパパもこうかをうたってる
埼玉県 寄居町立男衾小学校小1 吉田星哉
髪切る日薔薇を一本飾りましょう
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 前田愛奈
休憩にひねる蛇口や風光る
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 池優里花
踵よりこゑ絞り出す寒稽古
東京都 開成高等学校高3 渡辺光
◎入選
京の秋武将と同じゆか歩く
愛知県 岡崎市立矢作南小学校小6 岩室明咲花
ゆきだるまどんどんかおがかわってく
栃木県 大田原市立佐久山小学校小2 渡辺圭輔
炎天は天空にある鉄板だ
東京都 日野市立南平小学校小5 竹内愛莉
十九人身内集まる昭和の日
東京都 江東区立数矢小学校小6 富田果蓮
よざくらをとおりすぎたらまん月だ
東京都江東区立越中島小学校小2 吉川海地
春が来た転校生を連れてきた
富山県 氷見市立窪小学校小6 塚口琴葉
かまきりはじょうぶなてでのぼってた
東京都 杉並区立杉並第四小学校小2 原田凜
一口が体に響く寒の水
石川県 石川県立金沢錦丘中学校中1 中村巧史朗
炎日の空に吸われる打球音
東京都 東大和市立第四中学校中3 折出睦実
初景色光る山見て手をかざす
群馬県 渋川市立子持中学校中2 飯塚真生
閑谷の鯉の背中に木の緑
東京都 学習院女子中等科中3 榎本桜子
そっと手に包んだ平和寒卵
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 谷田部真結
てのひらに水の重たき遅日かな
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
全島の卒業式を十五人
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高3 藤本春風
畳にも涼風がきて大の字に
愛知県 愛知県安城高等学校高3 鈴木美果
新聞紙広げて香る春の雨
東京都 学習院女子高等科高3 穴山結子
いつの日か数え切りたい天の川
福岡県 有明工業高等専門学校高2 坂口拓斗
たけのこが押し上げている青い空
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 廣田航之介
かき氷溶けて広がる甘い海
長崎県 長崎県立大村高等学校高3 豊島菜々
長嶺千晶選
◎特選
私より友の手が好き天道虫
愛知県 西尾市立佐久島小学校小5 大島遥
理科室にならぶフラスコ若葉光
東京都 江東区立枝川小学校小5 西野良昭
すみれ咲く原爆ドームの足元で
東京都 学習院女子中等科中3 赤堀実咲
月桃が戦のことを語り継ぐ
沖縄県 沖縄県立読谷高等学校高3 竹上恵理紗
熱帯魚近くにいるのに遠い友
東京都 学習院女子高等科高1 村瀬結子
◎入選
地底から打ち上げられたねぎぼうず
和歌山県 田辺市立芳養小学校小5 峯佑希
先生ととくべつじゅぎょう雪遊び
富山県 高岡市立伏木小学校小4 池崎夏輝
うんていの肩もちぢまる若葉寒
東京都 江東区立枝川小学校小5 中島佳穂
かるたとりたたみのにおい広がった
大分県 杵築市立大内小学校小3 清末蒼真
終戦日沖なわ残され波の音
東京都 文京区立昭和小学校小4 小松澤拓登
アスパラガスぼくと同じで真っ直ぐだ
香川県 高松市立牟礼小学校小5 松原大河
炎天下バトンを受けとり走り出す
広島県 福山市立中央中学校中3 髙田颯太
夏の海今なら空も泳げそう
奈良県 五條市立五條東中学校中3 川ノ上翔平
暖かな清水寺で英会話
茨城県 豊里学園つくば市立豊里中学校中3 岩田拓実
春の川みな跳ぶ子供となりて跳ぶ
広島県 広島県立広島中学校中2 三宅結衣
初鰹今日だけ祖父が料理長
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 宮﨑颯汰
朧月空に受験と書いてある
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 栗林弥来
ただ空をながめ日永の河川敷
和歌山県 和歌山県立桐蔭高等学校高3 楠間麗奈
彼岸花一人で祖母に語りかけ
山形県 山形県立遊佐高等学校高2 斉藤伊織
教科書の重み新たに初桜
愛知県 愛知県立春日井高等学校高2 関口友菜
時雨とはすました君のこころかな
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 西健斗
問題を解く手を止める流れ星
長崎県 長崎県立大村高等学校高3 楠本紗恵子
夕立やゆらぐ心に終止符を
長崎県 長崎県立大村高等学校高3 水谷彩乃
風信子鏡の多き館かな
愛知県 名古屋高等学校高3 細井淳平
踵よりこゑ絞り出す寒稽古
東京都 開成高等学校高3 渡辺光
森岡正作選
◎特選
なの花はちょうちょうのとまるレストラン
和歌山県 田辺市立芳養小学校小1 竹ノ下緒里
花火後の静かな道を歩いてる
東京都 葛飾区立小松中学校中2 小田島雅
葉桜で町に素顔が戻りけり
三重県 セントヨゼフ女子学園高等学校高1 笠井うらら
褐色の少年握るカブトムシ
長崎県 長崎県立大村高等学校高1 山口雄大
◎入選
はるのうみかもがたくさんしゃべってる
愛知県 西尾市立佐久島小学校小1 千田咲希
「もっとみぎ」あにのこえききすいかわり
岐阜県 大垣市立墨俣小学校小1 森大和
京の秋武将と同じゆか歩く
愛知県 岡崎市立矢作南小学校小6 岩室明咲花
とうさんとさおならべてるのはるのうみ
富山県 高岡市立伏木小学校小2 宮﨑琉賢
「おには外」面からちらりとパパの顔
富山県 高岡市立伏木小学校小5 山﨑星良
ねこじゃらしくすぐったいなやめてよね
長野県 須坂市立豊洲小学校小2 寺島姫真梨
土くれをぐっと持ち上げふきのとう
福島県 南会津町立伊南小学校小5 齋藤春樹
おとし玉ママにとられてつかえない
埼玉県 深谷市立豊里小学校小2 石川虎太郎
校庭の遊具をぬらす夏の雨
東京都 江東区立越中島小学校小5 佐藤美海
しゅうだん登校たんぽぽの道を行く
富山県 氷見市立窪小学校小4 川口蒼宙
ぶどうだな楽ふのような影のびる
宮崎県 延岡学園尚学館小学校小4 森山文結
夏休み吹奏楽部が本気出す
東京都 江東区立第二亀戸中学校中2 中島萌
教室の窓にぶつかる夏の雨
東京都 江東区立深川第七中学校中3 鈴木音江
子規が詠む柿を探して法隆寺
千葉県 南房総市立三芳中学校中3 昆成見
ぶらんこや好きな子の背は強く押す
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 小峰萌楓
新学年不安だらけのチューリップ
埼玉県 埼玉県立上尾南高等学校高3 加藤航大
入学や男ばかりの傘二百
愛知県 名古屋高等学校高2 難波朔矢
じゃばじゃばと夏限定の水の音
長崎県 長崎県立大村高等学校高1 須田智也
惜敗の砂匂ひ立つ大夕立
神奈川県 鎌倉女学院高等学校高1 金澤響子
風信子鏡の多き館かな
愛知県 名古屋高等学校高3 細井淳平
山崎祐子選
◎特選
たいふうがはたけのすなをおいかける
埼玉県 加須市立高柳小学校小1 増田海斗
さいぼうがツンとふるえるかきごおり
東京都 江東区立第四砂町小学校小5 千野雄大
しもばしらしょくぱんかじる音がする
京都府 京都市立上賀茂小学校小1 古谷佳子
春眠のひかりいちまい着てをりぬ
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
踵よりこゑ絞り出す寒稽古
東京都 開成高等学校高3 渡辺光
◎入選
さくらさくぴょんぴょんはねるランドセル
岐阜県 大垣市立墨俣小学校小1 堀有志
しゃぼん玉わたしのいきでとんでゆく
埼玉県 深谷市立岡部西小学校小2 千木良はな
こいのぼりおいしいかぜをたべている
埼玉県 寄居町立男衾小学校小1 田中皇成
満月と同じ形の海月かな
東京都 江東区立数矢小学校小6 伊東凪義
夏祭たいこの音がつつむ夜
東京都 東大和市立第六小学校小6 若月仁美
春の川米とぐ音に似ているよ
東京都 東大和市立第九小学校小6 桑田昌知
校庭のゴールに入る初夏の風
東京都 江東区立枝川小学校小6 幡谷奏汰
かんせいで砂があばれる運動会
東京都 江東区立第四砂町小学校小5 福島鈴
さえずりのど真ん中へとホームラン
秋田県 大仙市立神岡小学校小6 大野陽人
海の絵を見て青色の日記買ふ
埼玉県 川越市立福原中学校中2 中山友里奈
山車みこし太鼓の中に友の声
山形県 酒田市立第六中学校中2 芝田壮汰
万緑と空の境界間なし
東京都 江東区立東陽中学校中2 黒岩達生
碁盤の目天元打って風光る
東京都 江東区立深川第七中学校中2 金子幸平
てのひらに水の重たき遅日かな
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
白鷺や田に映ゆること知りて立つ
静岡県 浜松市立高等学校高3 廣岡楓
しなやかな竹に隠れて滴れり
東京都学習院女子高等科高2 西田瑞希
葉桜で町に素顔が戻りけり
三重県セントヨゼフ女子学園高等学校高1 笠井うらら
浴衣着て首の後ろをぬるいかぜ
兵庫県雲雀丘学園高等学校高1 柴木香乃
風信子鏡の多き館かな
愛知県名古屋高等学校高3 細井淳平
山西雅子選
◎特選
庭のバラ聖母祭にはとどけよう
東京都 目黒星美学園小学校小5 永倉拓歩
春の陽にほすうちばきが白くゆれ
富山県 高岡市立伏木小学校小6 臼谷英斗
しもばしらしょくぱんかじる音がする
京都府 京都市立上賀茂小学校小1 古谷佳子
春の空見わたしながらボール投げ
ミラノ ミラノ日本人学校中1 小竹晴人
がら空きの三階にゐた卒業生
石川県 石川県立金沢錦丘高等学校高2 種田彩花
◎入選
地底から打ち上げられたねぎぼうず
和歌山県 田辺市立芳養小学校小5 峯佑希
ありのすをこわしているとあめがふる
埼玉県 深谷市立岡部西小学校小5 三浦大和
とうこうのれつ大やねのつららのれつ
富山県 高岡市立伏木小学校小2 奥原澄
ミニトマトたねを見たらねしずくの形
群馬県 館林市立第八小学校小2 広瀨琉夏
鈴蘭は季節外れの雪の色
広島県 東広島市立平岩小学校小5 蔭西佑月
シャボン玉二つくっつきももみたい
鹿児島県 伊佐市立湯之尾小学校小4 麦田万優
春の雨進級したからかさをさす
富山県 氷見市立窪小学校小4 扇浦更紗
にゅうがくしきパパもこうかをうたってる
埼玉県 寄居町立男衾小学校小1 吉田星哉
暑くてもたくさん遊ぶ人がいる
埼玉県 小川町立欅台中学校中1 坂内耶真人
竿曲がりきれいな黒鯛が浮き上がる
広島県 AICJ中学校中3 荒川恒徳
新緑やあの先生に恋してた
長野県 豊丘村立豊丘中学校中2 木下柚里
夏の草強き心は今の僕
東京都 東大和市立第四中学校中3 矢野貴暁
畑からスイカ投げてくる僕の祖父
群馬県 渋川市立子持中学校中2 高尾晴空
ラムネの泡はじけて消えるシャツの上
広島県 広島県立広島中学校中3 赤木和貴
全島の卒業式を十五人
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高3 藤本春風
ペダル踏む度春の土匂ひけり
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高3 矢野零雨
花冷えの去りゆく人の背は追わぬ
東京都 学習院女子高等科高3 中村瑞季
発車までの時減ってゆく春の海
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高2 田村知広
風信子鏡の多き館かな
愛知県 名古屋高等学校高3 細井淳平
【選考経過と選を終えて】
◆選考経過◆ 全国俳句大会委員長 小島健
「ジュニアの部」は本大会が八回目となります。全国の小学校・中学校・高等学校の学校単位、あるいは生徒さん個人から沢山応募をいただき、今年は小学校二九五校八,二四二名、中学校は八〇校五,〇九二名、高等学校は七九校三,三五四名、合わせて四五四校一六,六八八名の生徒さんに幼稚園児一名が加わり、昨年より約四,〇〇〇句多い二六,〇〇〇余句が寄せられました。
この全作品を次の選考委員六名によって、先ず予選を行い、通過作品二,〇五〇句を得ました。
鈴木太郎・中西夕紀・長嶺千晶・森岡正作・山崎祐子・山西雅子(五十音順)
次に予選作品を無記名(小・中・高の学年のみ明記)でプリントし、その中から同じく右の選考委員六名が各々、特選五句、入選二〇句及び佳作五〇句を選出しました。各委員の特選を四点、入選を二点、佳作を
一点として採点した結果をもとに選考委員会で審議し、一〇句を大会賞、三〇句を優秀賞としました。
また、応募数・予選通過数が多く、かつ予選通過比率の高かった学校の中から学校賞が九校、奨励賞が九校、合わせて一八校が選ばれました。
ご応募くださった生徒さん、ならびにご指導に当たられた皆様にお礼申し上げます。
◆選を終えて◆ 中西夕紀
小学生のみなさん、季節の虫や鳥や花がとても良く観察できていました。きっと今まで気がつかなかった、生き物のいがいな姿に出会ったことでしょう。みなさんは虫や花をとおして季語に出会ったのです。細かいところに気がついて、とても生き生きとえがけていました。
そして、お休み時間の遊びの句も、おもしろかったです。みなさんの思ったこと感じたことが、素直に書かれていましたので、その俳句から、みなさんの楽しい気持ち、うれしい気持ち、ときには残念な気持ちを受け取ることができました。
また、高学年のみなさんの句では、低学年の子供たちを思いやる心が描かれていました。集団登校の様子や、運動会などで誘導している下級生を描くことで、作者の上級生らしい優しさが作品から伝わってきました。
中学生、高校生の皆さん、皆さんは五七五のリズムが身について、俳句の形がしっかりしていました。学校の行事を題材にした句が多かったように思いますが、その中で、修学旅行の句ではその土地をよく調べて描かれており、景色が見えてくるようでした。
また、学校で友情が芽生えたこと、淡い恋が生まれたこと、感情が行違ったことなど、様々な場面が生き生きと描かれていました。俳句は直接楽しい、悲しいという言葉は使いませんが、情景をきちんと描くことによって、その時の感情が伝わって来ます。授業中の句もとても臨場感がありました。それらは私に授業中に窓の外ばかり見ていたことや、先生のちょっとした仕草に敏感だったことを思い出させてくれました。
俳句を作ろうと思ったとき、俳句にする対象をよく観察することが大切です。それは季語以外のものでも同じです。例えば、運動をしている人を描こうと思ったら、その人をよく観察するのです。そして、心に響いたことを素直な気持ちで描きましょう。俳句の材料は身近にころがっています。何でも俳句にしてみようという意気込みで作ってみましょう。
最後に、初めて俳句を作る子供を指導されます先生へ。俳句は五七五のリズムが大切です。まず、子供たちに身近なものを五七五で言って見せてあげて下さい。例えばこんな具合です。「てつぼうのてつのにおいが手についた」。そして、五七五でいうのが楽しくなったら、季語をひとつ教えてあげてください。きっと楽しんで作るようになると思います。
しもばしらしょくぱんかじる音がする
京都府 京都市立上賀茂小学校小1 古谷佳子
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しもばしらをふむとおもしろい音が!「これはなにかに似ている。あっ、焼いた食パンをかじるときの音だ」と作者は気付いたのです。すばらしい気付きによっていきいきとした句になりました。(選評=山西雅子)
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にゅうがくしきパパもこうかをうたってる
埼玉県 寄居町立男衾小学校小1 吉田星哉
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パパがにゅうがくしきにきてくれました。こうかを歌うときにちらっと見ると、パパも歌ってくれている。作者はちょっとふしぎなかんじがし、そしてとてもうれしいきもちになったのでしょう。(選評=山西雅子)
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臆病な麦わらぼうし出てこない
東京都 江東区立数矢小学校小6 保国友香
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お気に入りの大きなリボンの付いた麦藁帽子をたしかにここに置いたのに、どうしたことか大切に仕舞ったはずのところにないのですね。〈臆病になっている〉と感覚的に捉えた面白さがあります。(選評=鈴木太郎)
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畑からスイカ投げてくる僕の祖父
群馬県 渋川市立子持中学校中2 高尾晴空
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四千年前のエジプト・ギリシャに始まる西瓜栽培。太陽の熱そのものの縞のある西瓜を祖父が〈そらよっ〉と畑から抛るのです。作者はそれを胸の前でうまくキャッチするコツがあるのでしょう。(選評=鈴木太郎)
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花火後の静かな道を歩いてる
東京都 葛飾区立小松中学校中2 小田島雅
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花火終了後の喧噪から抜けて、家路へ向かう少女の姿です。さっきと違う静かな道を歩いていると花火の興奮も冷めて、友達のことや勉強のことが思い浮かんだのでしょう。少女期から大人へ向かう姿を感じます。(選評=森岡正作)
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すみれ咲く原爆ドームの足元で
東京都 学習院女子中等科中3 赤堀実咲
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足元に咲く可憐なすみれに気づいた作者に、原爆の悲劇がオーバーラップする。人間の作り出した原爆ドームと小さなすみれの花とを対比させた見事な構成に「生命」の在り方が問われた。(選評=長嶺千晶)
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葉桜で町に素顔が戻りけり
三重県 セントヨゼフ女子学園高等学校高1 笠井うらら
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桜が満開だった時の町の明るさや賑わい、そして葉桜となった町がいつもの落ち着きを取り戻した様子が見て取れます。作者も歩きながら、そろそろ高校生活に本腰を入れねばと思ったことでしょう。(選評=森岡正作)
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踵よりこゑ絞り出す寒稽古
東京都開成高等学校高3 渡辺光
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丹田や腹から声を出すのは常識だが、この句は、踵。踵は、大地からエネルギーを吸う。そして声となって放たれた。中七は寒稽古の厳しさを感じさせる。空手などの武道の寒稽古であろうか。(選評=山崎祐子)
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風信子鏡の多き館かな
愛知県 名古屋高等学校高3 細井淳平
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「風信子」はヒヤシンスの和名。水栽培も可能なこの花はどこか人工的な趣があり、さらに「鏡の多き館」に存在することで耽美的な世界が展開してゆく。その幻想性に詩情を覚えた。(選評=長嶺千晶)
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【優秀賞】
なの花はちょうちょうのとまるレストラン
和歌山県 田辺市立芳養小学校小1 竹ノ下緒里
たいふうがはたけのすなをおいかける
埼玉県 加須市立高柳小学校小1 増田海斗
ゆきだるまどんどんかおがかわってく
栃木県 大田原市立佐久山小学校小2 渡辺圭輔
とうこうのれつ大やねのつららのれつ
富山県高岡市立伏木小学校小2 奥原澄
地底から打ち上げられたねぎぼうず
和歌山県 田辺市立芳養小学校小5 峯佑希
庭のバラ聖母祭にはとどけよう
東京都 目黒星美学園小学校小5 永倉拓歩
私より友の手が好き天道虫
愛知県 西尾市立佐久島小学校小5 大島遥
うんていの肩もちぢまる若葉寒
東京都 江東区立枝川小学校小5 中島佳穂
理科室にならぶフラスコ若葉光
東京都 江東区立枝川小学校小5 西野良昭
さいぼうがツンとふるえるかきごおり
東京都 江東区立第四砂町小学校小5 千野雄大
京の秋武将と同じゆか歩く
愛知県 岡崎市立矢作南小学校小6 岩室明咲花
春の陽にほすうちばきが白くゆれ
富山県 高岡市立伏木小学校小6 臼谷英斗
先生のめがねに映る春の風
群馬県 館林市立第八小学校小6 松田紅愛
春の空見わたしながらボール投げ
ミラノ ミラノ日本人学校中1 小竹晴人
春眠のひかりいちまい着てをりぬ
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
てのひらに水の重たき遅日かな
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
休憩にひねる蛇口や風光る
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 池優里花
髪切る日薔薇を一本飾りましょう
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 前田愛奈
卒業や第二ボタンを予約して
北海道 富良野市立富良野東中学校中3 米村唯花
猛暑日は金管楽器で涼を取る
東京都 東大和市立第四中学校中3 木村莉音
ホルストの楽譜捲れて雲の峰
愛知県 名古屋高等学校高1 冨田孝太郎
熱帯魚近くにいるのに遠い友
東京都 学習院女子高等科高1 村瀬結子
浴衣着て首の後ろをぬるいかぜ
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 柴木香乃
褐色の少年握るカブトムシ
長崎県 長崎県立大村高等学校高1 山口雄大
発車までの時減ってゆく春の海
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高2 田村知広
がら空きの三階にゐた卒業生
石川県 石川県立金沢錦丘高等学校高2 種田彩花
全島の卒業式を十五人
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高3 藤本春風
鞦韆やうまく笑へぬ日も漕ぎて
和歌山県和歌山県立桐蔭高等学校高3 松本梓紗
月桃が戦のことを語り継ぐ
沖縄県 沖縄県立読谷高等学校高3 竹上恵理紗
【学校賞】
◆小学校◆
東京都 江東区立越中島小学校
東京都 江東区立枝川小学校
富山県 氷見市立窪小学校
◆中学校◆
東京都 学習院女子中等科
東京都 八王子市立みなみ野中学校
東京都 江東区立深川第七中学校
◆高等学校◆
東京都 学習院女子高等科
兵庫県 雲雀丘学園高等学校
福岡県 福岡県立有明工業高等専門学校
【奨励賞】
◆小学校◆
東京都 日野市立南平小学校
東京都 江東区立深川小学校
愛知県 岡崎市立矢作南小学校
◆中学校◆
広島県 広島県立広島中学校
広島県 福山市立中央中学校
山梨県 北杜市立長坂中学校
◆高等学校◆
愛知県 安城生活福祉高等専修学校
東京都 東京都立江戸川高等学校
沖縄県 沖縄県立読谷高等学校
【選者特選・入選】
鈴木太郎選
◎特選
臆病な麦わらぼうし出てこない
東京都 江東区立数矢小学校小6 保国友香
卒業や第二ボタンを予約して
北海道 富良野市立富良野東中学校中3 米村唯花
猛暑日は金管楽器で涼を取る
東京都 東大和市立第四中学校中3 木村莉音
鞦韆やうまく笑へぬ日も漕ぎて
和歌山県 和歌山県立桐蔭高等学校高3 松本梓紗
ホルストの楽譜捲れて雲の峰
愛知県 名古屋高等学校高1 冨田孝太郎
◎入選
犬の毛がふわふわ春になりました
富山県 高岡市立伏木小学校小3 渋谷宗一郎
母さんは大きくため息雪の朝
富山県 高岡市立伏木小学校小5 前田裕空
ひっこしだくわの木にはち集合だ
埼玉県 寄居町立男衾小学校小4 川﨑駿介
一年生目をあわせるとやってくる
東京都 葛飾区立新宿小学校小6 遠藤稜久
街角にパン屋ができたこどもの日
東京都 江東区立枝川小学校小6 瀧澤彩衣
ランドセル少しみがいて進級す
東京都 江東区立越中島小学校小5 佐藤美海
葉桜の下を通れば未来見え
長野県 豊丘村立豊丘中学校中3 上竹ひまり
畑からスイカ投げてくる僕の祖父
群馬県 渋川市立子持中学校中2 高尾晴空
ハンカチに染めるうさぎは後ろ向き
東京都 江東区立東陽中学校中3 宮島進之介
東大寺鹿を避けてもそこに鹿
東京都 江東区立東陽中学校中3 岡本若菜
広島の夏の大地に眠るいのち
東京都 学習院女子中等科中3 山成春佳
いつの日か揺れたぶらんこ独りきり
広島県 広島県立広島中学校中3 山本悠愛星
夏の朝少し高めのポニーテール
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 佐藤里咲
母笑う若草色のカーディガン
東京都 学習院女子高等科高3 野口友莉香
怖いもの日焼けの次に筋肉痛
長崎県 鎮西学院高等学校高2 寺方美明
母の日に手紙を書いて仲直り
愛知県 愛知県立春日井高等学校高2 伊藤綾音
鉛筆持つ手に髪垂るる薄暑かな
岩手県 岩手県立盛岡第三高等学校高2 國﨑萌子
勉強は雲雀が集う学校で
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 柗村龍星
白い母抱きしめ涙凍る朝
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 工代桜
発車までの時減ってゆく春の海
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高2 田村知広
中西夕紀選
◎特選
先生のめがねに映る春の風
群馬県 館林市立第八小学校小6 松田紅愛
にゅうがくしきパパもこうかをうたってる
埼玉県 寄居町立男衾小学校小1 吉田星哉
髪切る日薔薇を一本飾りましょう
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 前田愛奈
休憩にひねる蛇口や風光る
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 池優里花
踵よりこゑ絞り出す寒稽古
東京都 開成高等学校高3 渡辺光
◎入選
京の秋武将と同じゆか歩く
愛知県 岡崎市立矢作南小学校小6 岩室明咲花
ゆきだるまどんどんかおがかわってく
栃木県 大田原市立佐久山小学校小2 渡辺圭輔
炎天は天空にある鉄板だ
東京都 日野市立南平小学校小5 竹内愛莉
十九人身内集まる昭和の日
東京都 江東区立数矢小学校小6 富田果蓮
よざくらをとおりすぎたらまん月だ
東京都江東区立越中島小学校小2 吉川海地
春が来た転校生を連れてきた
富山県 氷見市立窪小学校小6 塚口琴葉
かまきりはじょうぶなてでのぼってた
東京都 杉並区立杉並第四小学校小2 原田凜
一口が体に響く寒の水
石川県 石川県立金沢錦丘中学校中1 中村巧史朗
炎日の空に吸われる打球音
東京都 東大和市立第四中学校中3 折出睦実
初景色光る山見て手をかざす
群馬県 渋川市立子持中学校中2 飯塚真生
閑谷の鯉の背中に木の緑
東京都 学習院女子中等科中3 榎本桜子
そっと手に包んだ平和寒卵
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 谷田部真結
てのひらに水の重たき遅日かな
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
全島の卒業式を十五人
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高3 藤本春風
畳にも涼風がきて大の字に
愛知県 愛知県安城高等学校高3 鈴木美果
新聞紙広げて香る春の雨
東京都 学習院女子高等科高3 穴山結子
いつの日か数え切りたい天の川
福岡県 有明工業高等専門学校高2 坂口拓斗
たけのこが押し上げている青い空
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 廣田航之介
かき氷溶けて広がる甘い海
長崎県 長崎県立大村高等学校高3 豊島菜々
長嶺千晶選
◎特選
私より友の手が好き天道虫
愛知県 西尾市立佐久島小学校小5 大島遥
理科室にならぶフラスコ若葉光
東京都 江東区立枝川小学校小5 西野良昭
すみれ咲く原爆ドームの足元で
東京都 学習院女子中等科中3 赤堀実咲
月桃が戦のことを語り継ぐ
沖縄県 沖縄県立読谷高等学校高3 竹上恵理紗
熱帯魚近くにいるのに遠い友
東京都 学習院女子高等科高1 村瀬結子
◎入選
地底から打ち上げられたねぎぼうず
和歌山県 田辺市立芳養小学校小5 峯佑希
先生ととくべつじゅぎょう雪遊び
富山県 高岡市立伏木小学校小4 池崎夏輝
うんていの肩もちぢまる若葉寒
東京都 江東区立枝川小学校小5 中島佳穂
かるたとりたたみのにおい広がった
大分県 杵築市立大内小学校小3 清末蒼真
終戦日沖なわ残され波の音
東京都 文京区立昭和小学校小4 小松澤拓登
アスパラガスぼくと同じで真っ直ぐだ
香川県 高松市立牟礼小学校小5 松原大河
炎天下バトンを受けとり走り出す
広島県 福山市立中央中学校中3 髙田颯太
夏の海今なら空も泳げそう
奈良県 五條市立五條東中学校中3 川ノ上翔平
暖かな清水寺で英会話
茨城県 豊里学園つくば市立豊里中学校中3 岩田拓実
春の川みな跳ぶ子供となりて跳ぶ
広島県 広島県立広島中学校中2 三宅結衣
初鰹今日だけ祖父が料理長
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 宮﨑颯汰
朧月空に受験と書いてある
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 栗林弥来
ただ空をながめ日永の河川敷
和歌山県 和歌山県立桐蔭高等学校高3 楠間麗奈
彼岸花一人で祖母に語りかけ
山形県 山形県立遊佐高等学校高2 斉藤伊織
教科書の重み新たに初桜
愛知県 愛知県立春日井高等学校高2 関口友菜
時雨とはすました君のこころかな
兵庫県 雲雀丘学園高等学校高1 西健斗
問題を解く手を止める流れ星
長崎県 長崎県立大村高等学校高3 楠本紗恵子
夕立やゆらぐ心に終止符を
長崎県 長崎県立大村高等学校高3 水谷彩乃
風信子鏡の多き館かな
愛知県 名古屋高等学校高3 細井淳平
踵よりこゑ絞り出す寒稽古
東京都 開成高等学校高3 渡辺光
森岡正作選
◎特選
なの花はちょうちょうのとまるレストラン
和歌山県 田辺市立芳養小学校小1 竹ノ下緒里
花火後の静かな道を歩いてる
東京都 葛飾区立小松中学校中2 小田島雅
葉桜で町に素顔が戻りけり
三重県 セントヨゼフ女子学園高等学校高1 笠井うらら
褐色の少年握るカブトムシ
長崎県 長崎県立大村高等学校高1 山口雄大
◎入選
はるのうみかもがたくさんしゃべってる
愛知県 西尾市立佐久島小学校小1 千田咲希
「もっとみぎ」あにのこえききすいかわり
岐阜県 大垣市立墨俣小学校小1 森大和
京の秋武将と同じゆか歩く
愛知県 岡崎市立矢作南小学校小6 岩室明咲花
とうさんとさおならべてるのはるのうみ
富山県 高岡市立伏木小学校小2 宮﨑琉賢
「おには外」面からちらりとパパの顔
富山県 高岡市立伏木小学校小5 山﨑星良
ねこじゃらしくすぐったいなやめてよね
長野県 須坂市立豊洲小学校小2 寺島姫真梨
土くれをぐっと持ち上げふきのとう
福島県 南会津町立伊南小学校小5 齋藤春樹
おとし玉ママにとられてつかえない
埼玉県 深谷市立豊里小学校小2 石川虎太郎
校庭の遊具をぬらす夏の雨
東京都 江東区立越中島小学校小5 佐藤美海
しゅうだん登校たんぽぽの道を行く
富山県 氷見市立窪小学校小4 川口蒼宙
ぶどうだな楽ふのような影のびる
宮崎県 延岡学園尚学館小学校小4 森山文結
夏休み吹奏楽部が本気出す
東京都 江東区立第二亀戸中学校中2 中島萌
教室の窓にぶつかる夏の雨
東京都 江東区立深川第七中学校中3 鈴木音江
子規が詠む柿を探して法隆寺
千葉県 南房総市立三芳中学校中3 昆成見
ぶらんこや好きな子の背は強く押す
東京都 八王子市立みなみ野中学校中3 小峰萌楓
新学年不安だらけのチューリップ
埼玉県 埼玉県立上尾南高等学校高3 加藤航大
入学や男ばかりの傘二百
愛知県 名古屋高等学校高2 難波朔矢
じゃばじゃばと夏限定の水の音
長崎県 長崎県立大村高等学校高1 須田智也
惜敗の砂匂ひ立つ大夕立
神奈川県 鎌倉女学院高等学校高1 金澤響子
風信子鏡の多き館かな
愛知県 名古屋高等学校高3 細井淳平
山崎祐子選
◎特選
たいふうがはたけのすなをおいかける
埼玉県 加須市立高柳小学校小1 増田海斗
さいぼうがツンとふるえるかきごおり
東京都 江東区立第四砂町小学校小5 千野雄大
しもばしらしょくぱんかじる音がする
京都府 京都市立上賀茂小学校小1 古谷佳子
春眠のひかりいちまい着てをりぬ
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
踵よりこゑ絞り出す寒稽古
東京都 開成高等学校高3 渡辺光
◎入選
さくらさくぴょんぴょんはねるランドセル
岐阜県 大垣市立墨俣小学校小1 堀有志
しゃぼん玉わたしのいきでとんでゆく
埼玉県 深谷市立岡部西小学校小2 千木良はな
こいのぼりおいしいかぜをたべている
埼玉県 寄居町立男衾小学校小1 田中皇成
満月と同じ形の海月かな
東京都 江東区立数矢小学校小6 伊東凪義
夏祭たいこの音がつつむ夜
東京都 東大和市立第六小学校小6 若月仁美
春の川米とぐ音に似ているよ
東京都 東大和市立第九小学校小6 桑田昌知
校庭のゴールに入る初夏の風
東京都 江東区立枝川小学校小6 幡谷奏汰
かんせいで砂があばれる運動会
東京都 江東区立第四砂町小学校小5 福島鈴
さえずりのど真ん中へとホームラン
秋田県 大仙市立神岡小学校小6 大野陽人
海の絵を見て青色の日記買ふ
埼玉県 川越市立福原中学校中2 中山友里奈
山車みこし太鼓の中に友の声
山形県 酒田市立第六中学校中2 芝田壮汰
万緑と空の境界間なし
東京都 江東区立東陽中学校中2 黒岩達生
碁盤の目天元打って風光る
東京都 江東区立深川第七中学校中2 金子幸平
てのひらに水の重たき遅日かな
東京都 開成中学校中2 谷田部慶
白鷺や田に映ゆること知りて立つ
静岡県 浜松市立高等学校高3 廣岡楓
しなやかな竹に隠れて滴れり
東京都学習院女子高等科高2 西田瑞希
葉桜で町に素顔が戻りけり
三重県セントヨゼフ女子学園高等学校高1 笠井うらら
浴衣着て首の後ろをぬるいかぜ
兵庫県雲雀丘学園高等学校高1 柴木香乃
風信子鏡の多き館かな
愛知県名古屋高等学校高3 細井淳平
山西雅子選
◎特選
庭のバラ聖母祭にはとどけよう
東京都 目黒星美学園小学校小5 永倉拓歩
春の陽にほすうちばきが白くゆれ
富山県 高岡市立伏木小学校小6 臼谷英斗
しもばしらしょくぱんかじる音がする
京都府 京都市立上賀茂小学校小1 古谷佳子
春の空見わたしながらボール投げ
ミラノ ミラノ日本人学校中1 小竹晴人
がら空きの三階にゐた卒業生
石川県 石川県立金沢錦丘高等学校高2 種田彩花
◎入選
地底から打ち上げられたねぎぼうず
和歌山県 田辺市立芳養小学校小5 峯佑希
ありのすをこわしているとあめがふる
埼玉県 深谷市立岡部西小学校小5 三浦大和
とうこうのれつ大やねのつららのれつ
富山県 高岡市立伏木小学校小2 奥原澄
ミニトマトたねを見たらねしずくの形
群馬県 館林市立第八小学校小2 広瀨琉夏
鈴蘭は季節外れの雪の色
広島県 東広島市立平岩小学校小5 蔭西佑月
シャボン玉二つくっつきももみたい
鹿児島県 伊佐市立湯之尾小学校小4 麦田万優
春の雨進級したからかさをさす
富山県 氷見市立窪小学校小4 扇浦更紗
にゅうがくしきパパもこうかをうたってる
埼玉県 寄居町立男衾小学校小1 吉田星哉
暑くてもたくさん遊ぶ人がいる
埼玉県 小川町立欅台中学校中1 坂内耶真人
竿曲がりきれいな黒鯛が浮き上がる
広島県 AICJ中学校中3 荒川恒徳
新緑やあの先生に恋してた
長野県 豊丘村立豊丘中学校中2 木下柚里
夏の草強き心は今の僕
東京都 東大和市立第四中学校中3 矢野貴暁
畑からスイカ投げてくる僕の祖父
群馬県 渋川市立子持中学校中2 高尾晴空
ラムネの泡はじけて消えるシャツの上
広島県 広島県立広島中学校中3 赤木和貴
全島の卒業式を十五人
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高3 藤本春風
ペダル踏む度春の土匂ひけり
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高3 矢野零雨
花冷えの去りゆく人の背は追わぬ
東京都 学習院女子高等科高3 中村瑞季
発車までの時減ってゆく春の海
愛媛県 愛媛県立今治西高等学校高2 田村知広
風信子鏡の多き館かな
愛知県 名古屋高等学校高3 細井淳平
【選考経過と選を終えて】
◆選考経過◆ 全国俳句大会委員長 小島健
「ジュニアの部」は本大会が八回目となります。全国の小学校・中学校・高等学校の学校単位、あるいは生徒さん個人から沢山応募をいただき、今年は小学校二九五校八,二四二名、中学校は八〇校五,〇九二名、高等学校は七九校三,三五四名、合わせて四五四校一六,六八八名の生徒さんに幼稚園児一名が加わり、昨年より約四,〇〇〇句多い二六,〇〇〇余句が寄せられました。
この全作品を次の選考委員六名によって、先ず予選を行い、通過作品二,〇五〇句を得ました。
鈴木太郎・中西夕紀・長嶺千晶・森岡正作・山崎祐子・山西雅子(五十音順)
次に予選作品を無記名(小・中・高の学年のみ明記)でプリントし、その中から同じく右の選考委員六名が各々、特選五句、入選二〇句及び佳作五〇句を選出しました。各委員の特選を四点、入選を二点、佳作を
一点として採点した結果をもとに選考委員会で審議し、一〇句を大会賞、三〇句を優秀賞としました。
また、応募数・予選通過数が多く、かつ予選通過比率の高かった学校の中から学校賞が九校、奨励賞が九校、合わせて一八校が選ばれました。
ご応募くださった生徒さん、ならびにご指導に当たられた皆様にお礼申し上げます。
◆選を終えて◆ 中西夕紀
小学生のみなさん、季節の虫や鳥や花がとても良く観察できていました。きっと今まで気がつかなかった、生き物のいがいな姿に出会ったことでしょう。みなさんは虫や花をとおして季語に出会ったのです。細かいところに気がついて、とても生き生きとえがけていました。
そして、お休み時間の遊びの句も、おもしろかったです。みなさんの思ったこと感じたことが、素直に書かれていましたので、その俳句から、みなさんの楽しい気持ち、うれしい気持ち、ときには残念な気持ちを受け取ることができました。
また、高学年のみなさんの句では、低学年の子供たちを思いやる心が描かれていました。集団登校の様子や、運動会などで誘導している下級生を描くことで、作者の上級生らしい優しさが作品から伝わってきました。
中学生、高校生の皆さん、皆さんは五七五のリズムが身について、俳句の形がしっかりしていました。学校の行事を題材にした句が多かったように思いますが、その中で、修学旅行の句ではその土地をよく調べて描かれており、景色が見えてくるようでした。
また、学校で友情が芽生えたこと、淡い恋が生まれたこと、感情が行違ったことなど、様々な場面が生き生きと描かれていました。俳句は直接楽しい、悲しいという言葉は使いませんが、情景をきちんと描くことによって、その時の感情が伝わって来ます。授業中の句もとても臨場感がありました。それらは私に授業中に窓の外ばかり見ていたことや、先生のちょっとした仕草に敏感だったことを思い出させてくれました。
俳句を作ろうと思ったとき、俳句にする対象をよく観察することが大切です。それは季語以外のものでも同じです。例えば、運動をしている人を描こうと思ったら、その人をよく観察するのです。そして、心に響いたことを素直な気持ちで描きましょう。俳句の材料は身近にころがっています。何でも俳句にしてみようという意気込みで作ってみましょう。
最後に、初めて俳句を作る子供を指導されます先生へ。俳句は五七五のリズムが大切です。まず、子供たちに身近なものを五七五で言って見せてあげて下さい。例えばこんな具合です。「てつぼうのてつのにおいが手についた」。そして、五七五でいうのが楽しくなったら、季語をひとつ教えてあげてください。きっと楽しんで作るようになると思います。