今月の俳句

俳句カレンダー鑑賞 12月
吾子が座を確かめ灯す冬の家 角川源義
吾子が座を確かめ灯す冬の家

角川源義
 源義46歳の折の作品です。第二句集『秋燕』の「昨日今日 昭和三十八年」の項に、関連句と共に所収。
 この項の冒頭句の前書に注目します。「長女真弓級友清水君と婚約、新居を見に行く」。その次の句が〈短日の家訪ね得し風の道〉です。
 これらの句や前書、その直後の作も合わせ鑑みるに、掲載句は愛娘の結婚前にその無住の新居を訪ねた時の作と推察できます。この娘とは真弓こと作家・歌人の辺見じゅんです。
 ですから、掲句は娘の冬の無住の新居で、これからの吾子の日常の座を確かめて灯をともした、と考えられます。かような句集全体からの読みも許されましょう。
 掲句一連から娘思いの父親の情が感得できます。事情があり、娘の小さい頃には諸般不憫な思いをさせた源義でした。その分、結婚前の情愛は倍加しました。
 この父・源義の深い情に胸が熱くなります。
(小島  健)
 社団法人俳人協会 俳句文学館607号より