俳句カレンダー鑑賞 令和2年6月
- 俳句カレンダー鑑賞 6月
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水たまりに浮いていたあめんぼうが強風にあおられ思わず土の上を走っていったという、意外な光景をリアルに描き出した作品。地面には不慣れな6本脚の動きと、あめんぼうのきょとんとした表情を想像させてどこかユーモラスでもある。
作者は句集『丹後』のあとがきに「有季定型の俳句との出逢いにより自然と親和的になり人間は自然の一部であることを実感」と述べている。
自然の何気ない動きに目を留め表現する作者の信条は「季語の新たな表情を見つける」こと。もし、あめんぼうは水面を動き回っているものという固定したイメージにとらわれていたら、この場面は見逃がされていたかもしれない。
無心に季語と向き合う作者の真骨頂を示した一句である。
句集『志楽』所収。(浅田 光代)あめんぼう吹かれて土を走りける
南うみを
社団法人俳人協会 俳句文学館590号より