俳句カレンダー鑑賞 令和2年11月
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第5句集『初時雨』所収。
品川は東海道五十三次の第一の宿駅で江戸の南の門戸である。東京に住む作者は芭蕉の漂泊の旅に憧れ、品川を出れば旅ぞら、と詠み生命を吹き込んだ。幸運なことに、と見こう見しているうちに初時雨にであったのである。上上の旅の門出に心が躍ったに違いない。
現在、石田波郷が創刊した「鶴」主宰。令和2年6月、創刊900号を迎えた。その折の句〈九はまた一に返りぬ更衣〉と心を新たにしている。更に石塚友二、星野麥丘人、と受け継がれてきた「鶴」の俳句韻文の精神を大切に、多くの仲間達と句作の座のたのしみを共有していきたいとも。
先師麥丘人が波郷、友二の亜流を嫌い、独自の句境を切り拓いたことに共感し実践している。
(中村 阿弥)品川を出れば旅ぞら初時雨
鈴木しげを
社団法人俳人協会 俳句文学館594号より