俳句カレンダー鑑賞 令和2年12月
- 俳句カレンダー鑑賞 12月
-
わが頬を燃やし励めと冬日あり
深見けん二冬日は、冬の日の傍題で冬の太陽や日差しのことである。掲句は第9句集『夕茜』所収。平成28年に結社「花鳥来」の清瀬吟行の時に詠まれたものである。
この年「こおりやま文学の森」で特別企画展「清廉の俳人・深見けん二展」が開催された。作者の故郷である郡山に大勢の人が来て賑わい無事に終了できたことは大変嬉しかったに違いない。しばらくはその余韻に浸っていたが、いつまでもこのままではいけないと決意を新たに自分に気合いを入れたのではなかろうか。そう思って、後日作者に「特に励まなければならないことがあったのですか」とお聞きしたら、「虚子には冬日の句が沢山あるんだよね」と言われた。あっと思った。作者は冬日に向かって虚子の冬日の句を諳んじ、虚子と話をしていたのである。
「励め」はまさに虚子からの言葉であり、頬が燃えるほど熱く感じたというのも頷ける。日頃から作者の虚子に寄せる思いは深い。冬日に真向かっている姿がはっきりと見える。
(小圷 健水)社団法人俳人協会 俳句文学館595号より