俳句カレンダー鑑賞 令和3年10月
- 俳句カレンダー鑑賞 10月
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この句は、昭和18年、風生第4句集『冬霞』の昭和16年の部に収められています。
父の住居にはステンドガラスの窓の応接間兼仕事部屋があり、窓越しには朴の木を中心に椎の木や竹林の庭が一望出来ました。
好みの椿や紅葉、柿の木などや草花が雑然と植えられた自然溢れる庭でした。早朝には雀をはじめ、いろいろな鳥達が遊びに来てその声が絶えませんでした。
仕事が一段落してふと窓の外に目をやると、小鳥が来て何かを啄んでいます。
以前から母はおもてなしに紅茶をお出ししていたので、可愛い小鳥の訪れに紅茶が欲しくなったのでしょう。
当時としてはなかなかモダンな句だと思います。
この句碑は風生旧居の庭にお弟子さん達によって建てられています。
(遠藤 風琴)小鳥来て午後の紅茶の欲しき頃
富安風生
社団法人俳人協会 俳句文学館605号より