俳句カレンダー鑑賞 令和3年11月
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海に出て木枯帰るところなし
山口誓子この句は、昭和19年11月に作られて、句集『遠星』に発表されている。昭和54年6月5日に発行された俳人協会の自註現代俳句シリーズ第一期の『山口誓子集』に掲載されている。自註には次のように書かれている。
「木枯は、山から吹き下して、野を通り、海に出ると、行ったきりで、再び日本へは帰って来ない。日本の木枯は日本の国籍を失ってしまうのだ」。
山口誓子の俳句感というものが如実に出ている。吾々もこれを良き教えとして頑張りつづけなければならない。こういう俳句に出合うとしばらくはその当時の誓子作品を読み返してみることにしている。
長い間ご教示をたまわった俳句論、誓子俳句を忘れずに勉強することが大切だ。
よい師をもって俳句人生は恵まれていた。それを大事に俳句の猛勉強を続けていきたい。
(塩川 雄三)社団法人俳人協会 俳句文学館606号より