俳句カレンダー鑑賞 令和4年11月
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朝夕まめに掃こうとも隣近所のものまで吹き混じり、すぐに降り溜まる落葉。その加減を目分量して「半分は隣の落葉だ」と諧謔の気持ちを込めた写生句かと思っていた。命の灯をわずかにした病の床で作者に伺えば「心境句だ」と仰しゃる。
観察した。広いご自宅だが目立つ落葉樹はない。隣接する私立の有名進学校からくる門前の落葉がほとんどだった。学校への気遣いもあり、やり切れぬ心情も込め「半分は」と謙譲した表現をしたのではないだろうか。
述懐や前書がないと作意を知ることは困難で、作品解釈は勝手に独り歩きするもの。だが、前書などなくたっていい。魂が発した言葉なら読み手の心に真っ直ぐに響く。
「渋柿」七代主宰。句の命は余情と教え6月、79歳で亡くなった。
〈「渋柿」令和3年2月号所収〉(立花 慶舟)半分は隣のものなり庭落葉
渡邊孤鷲
社団法人俳人協会 俳句文学館618号より