俳句カレンダー鑑賞 令和5年1月
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目の前に大きな氷柱があり、その背後には晴れてしんしんと冷えた空が広がる。作者は北海道の余市出身。北国で見る氷柱は、関東などで見かける氷柱とは別物と思って良い。数メートルになるものもざらで、間違えてもぽきっと折れたりはしないのである。
青空の力強さをぐんぐんと吸う氷柱。空を背景とする色彩的な向日性の一方で、やはり屈強な氷柱がそこに根付いてしまうことの厳しさ・容赦のなさがある。この二面性を持った「根を張る」の凄まじさを味わいたい。
そして下五の命令形である。呼び掛けられているのは氷柱を見ている人間か、この句を読んでいる読者か、はたまた作者自身であろうか。きっとそのどれも正解なのであろう。
きっぱりと氷柱の、大空の、そして北国の力強さを教えてくれる。
(板倉ケンタ)大空に根を張るつららだと思へ
櫂未知子
社団法人俳人協会 俳句文学館620号より