俳句カレンダー鑑賞  令和5年1月

俳句カレンダー鑑賞 1月
かまくらに膝送りして甘酒 太田土男

 太田土男さんは多忙の中にあっても、コロナ禍以前は、句会メンバーと度々旅行に出掛けられた。
 掲句は、秋田県横手市で開催される小正月行事のかまくらを訪れた際の旅吟である。第4句集『花綵』に収録されていて、甘酒には「あまゆつこ」と横手訛りのルビがあり、郷土色豊かな俳句となっている。
 祭り期間中、市内には80基程のかまくらと数百の小かまくらが造られ、メルヘンの世界と化す。
 かまくらには水神様が祀られ、子供達が中から「はいってたんせ」「おがんでたんせ」と通る人に声を掛けて、餅や甘酒などを振る舞う。かまくらの広さは三畳程で中央に火鉢が置かれていることから狭く、甘酒は膝送りして饗されるのである。
 掲句は、かまくらの様子が活写されており、楽しさが伝わって来る。
(岩谷 塵外)
かまくらに膝送りして甘酒

太田土男

 社団法人俳人協会 俳句文学館620号より