俳句カレンダー鑑賞 平成23年4月
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もう既に子猫が申す好き嫌ひ 有馬朗人 第5句集『立志』(平成10年刊行)収録の1句。
有馬俳句には小動物を詠んだ作品も多いが、この句には、そんな動物へ寄せる愛情があふれ出ている。
ドクター・アリマとして米国に一家で在住していた当時、何匹かの猫を飼っていたという。その中の一匹の子猫がモデルである。
子猫に餌を与えようとしたら、一匹だけ食べたくないとそっぽを向く子がいた。その我が儘ぶりに振り回されながらも、愛おしくてたまらない。
世の中には猫派と犬派がいるが、猫派はこの我が儘ぶりを好み、犬派は素直で柔順なところを好く。作者は断然猫派である。黒猫、白猫、三毛猫と、何種類かの猫が有馬家にはいたそうだ。 この度の大災害では多くの方々が犠牲になり、未だ不明となったままでいる。共に動物たちも被害に遭っていることを忘れないでいたい。(天野小石)社団法人俳人協会 俳句文学館480号より