俳句カレンダー鑑賞  平成24年6月

俳句カレンダー鑑賞 6月
六月や水より醒めし空のいろ 青柳 志解樹

 一読、現代的な詩心のある俳句だと思う。日本人の生活や感性から生まれた、旧暦「皐月」の季節感とは異なり「六月」はまさしく現実的だ。
 この水面はどのような水であろうか。やがて梅雨を迎える頃、満目緑滴り、湛えられた水の豊かさは、空へ同化するようだ。水は空へと通う風景であり、梅雨を控えた空へ詩心を通わせている。  「水より醒めし空の色」という自然に対する息づかいは、まさに「自然即自然」を掲げる志解樹俳句の真骨頂といえよう。
 自然の理念から決して外れることのない生き方に徹している。
 「六月」の季感と共に自然の瑞々しさを感じ取ることができ、蕩蕩たる大河と広い空が一体となった大らかな景が眼前に広がる。
 俳句は俳句であり、詩である。句集『松は松』所収。(中村 姫路)
六月や水より醒めし空のいろ

青柳志解樹

 公益社団法人俳人協会 俳句文学館494号より