俳句カレンダー鑑賞 平成27年4月
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作者は高校入学後に俳句を始められた、と聞いている。そして石田波郷を師と仰ぎ、その「鶴」一筋に励んでこられた。
昨年上梓の自註にも、「波郷門を名乗る誇らしさ。師系を尊ぶ俳句の世界ならではのことだが、そこに意義づけをしなくてはと思う」と記している。この最後の一節こそ著者の一番告げたい思いではないだろうか。
この句に葱坊主の季語を選ばれたことに感銘した。葱坊主は何方もご存知の通り、晩春、畑の隅などでよく見かけるが、特に目を引くものでもない。それでも葱坊主は真すぐ立っている。この句の葱坊主は、ご自分の分身かと思う。
常に波郷門というプライドを胸に、努力し励んでこられた姿勢こそ尊いと思う。謙虚な、そして力強いのが大石悦子さんなのだ。(河野美保子)先生の名を言うてみよ葱坊主
大石悦子
社団法人俳人協会 俳句文学館528号より