俳句カレンダー鑑賞 平成27年12月
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選り迷ふ菓子銀皿に聖夜くる
小川濤美子クリスマスの夜は、信者でなくてもお祝ムードに包まれ、なぜか浮き浮きした気分になる。街の木々はイルミネーションに輝き、ジングルベルが賑やかに聞こえてくる。
どこの家も豪華なケーキを用意し、明るい灯の下で家族揃って楽しむ。
プレゼントを貰い、はしゃぐ子供たちの笑顔や賑やかな声まで聞こえてくる。嬉しそうに子供たちを見つめる両親や祖父母の優しいまなざし。愛情あふれる家族の姿が、ありありと目に浮かぶ。
色とりどりのケーキが並べられた銀の皿は、クリスマスの灯に美しく輝き、どれを選ぼうかという子供たちの真剣な目。 皆で「ジングルベル」や「きよしこの夜」を歌いながら、豊かな時間が流れていく。
キリストの降誕日が、遠いアジアの小さな日本の国で、こんなに祝われているとは、イエス様も驚いていらっしゃることだろう。
それにしても、美しく心あたたまる句である。
(橘 朝子)社団法人俳人協会 俳句文学館536月号より