俳句カレンダー鑑賞 平成28年10月
- 俳句カレンダー鑑賞 10月
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大地の鼓動を感じながら人は呼吸を繰り返す。太陽のエネルギーを受けて、大地は様々な光を放つ。この光の中で今確かに生きていることを実感させてくれる。早苗田、青田、稔田。収穫期の大地は地平線まで続き、天と繫がる。天地は大きくうねり、揺れ動いているかのように感じられる。
「新米の礼状」ときっぱり言い切れるのは、「新米」そのものの持っている季語としての本意をしっかり摑んでいるからなのだろう。贈ってくれる人の呼吸とそのリズムをよく知っているからなのだろう。
「妻の名を連ね」とすらりと言えるのは、日常を大切にしている作者の確かな呼吸があるからなのだろう。家族を大切にし続けてきた大きな呼吸が見えてくるような気がする。掲句には、無常の思いさえ突き抜けているような強さがある。
(井越 芳子)新米の礼状妻の名を連ね
山崎ひさを
社団法人俳人協会 俳句文学館546号より