俳句の庭/第80回 ハドソン川 森田純一郎
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森田純一郎 1953年大阪市生まれ。1986年「かつらぎ」入会、阿波野青畝・森田峠に師事。2013年5月、3代目「かつらぎ」主宰を継承。俳人協会理事・関西支部長、大阪俳人クラブ副会長、日本文藝家協会会員、国際俳句交流協会会員。大神神社・住吉大社・今宮戎神社・南御堂みどう俳壇選者。句集『マンハッタン』・『祖国』・『旅懐』・『街道』。編纂『森田峠全句集』。 |
1994年から5年間駐在したニューヨークでは、オフィスがマンハッタン南西のハドソン川寄りにあり、住居が北郊のウエストチェスターにあった。
日本に帰任後も毎年のようにニューヨークに出張していたが、定宿にしていたホテルは、ハドソンに近い9番街に面していたので吟行がてら、廃線の高架部分に植栽した「ハイライン」と呼ばれる公園を散策したりもした。
トム・ハンクス主演の映画「ハドソン川の奇跡」で一躍有名になったが、真冬のハドソンは凍結することでも知られる。
翼下なるハドソン早も凍てはじむ 森田純一郎「祖国」所収
平成21年作
冬のニューヨークは最低気温がマイナス20℃近くになることもある。初冬に日本から出張した時に、JFK空港に着陸する機窓から見えたハドソン川が早くも凍結していて驚いたものだ。
夕端居みなハドソンを向きにけり 森田純一郎「旅懐」所収
平成27年作
アメリカも日本と同じく高齢者が増えており、空気のきれいな郊外には老人用の福祉施設も増えている。
新型コロナウイルス発生以後は一度も行けていない。加えて今はドル高円安のため、旅行費用がほぼ倍増している。
しかし、数年後にはかつて住んでいた辺りへ行ってみたいと思っている。トランプ政権下でのニューヨークも見てみたいものだ。