俳句カレンダー鑑賞 平成26年1月
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初句会珠の言葉の湧き出でよ
深見けん二「珠」は美しいものの形容だが、ここでは「その時の心持ちを表すのに一番ふさわしい」という意に解したい。
「初句会」という季題には、新年に集まって句会ができるという喜びも含まれるが、作者は今年もまた、そのような言葉が心の中から次々と現れて欲しいものだと願っているのである。
俳句に限ったことではないが、ただ感動しているだけでは作品にならない。私たちはその感動を言葉に直結させようとして、断片的にではなく、十七字に書きとめてゆくのである。
作者は「重ねる、授かる」という作句法を書いている。心を豊かにする努力を続け、作句を重ねると、季題の恩寵で、自分の力を超えた句がまれに出来る。そしてそれは「言葉」として授かることなのだという。
掲句の背景には、このような確固たる信条があるのである。
平成19年作。第7句集『蝶に会ふ』所収。(水島 直光)公益社団法人俳人協会 俳句文学館513号より